子どもは暑さに弱く、暑くなると皮膚のかゆみが増大します。
上図は、左の半袖肌着1枚着ただけで皮膚温が急上昇している様子です。このように皮膚温が上がると、痒みが増してきます。ふとんを蹴っ飛ばして寝るのは、寝相が悪いと考えるより、暑がっているんだなと思ってください。裸で寝たから風邪を引くなんてことはありません。子どもは寒さには強く、暑さに弱いものです。常にお母さん方より1枚少なめにしてください。
特に乳幼児はおむつをしていることが多いです。おむつをしているだけでかなり暑いものです。分厚い毛糸のパンツをはいているのと同じようなものですから、おむつをしているときは一層薄着に心がけてください。
お風呂に入ったり布団に入って体があたたまると、途端にかゆくなります。これは、皮膚があたためられてかゆみ神経がかゆみを感じやすくなるためです。また、仕事や遊びに熱中している時はあまりかゆくないのに、ほっとしている時にかゆみを感じやすいということがよくあります。夜眠る前が一番かゆいと訴える患者さんが多いのは、布団に入って体があたたまるのに加え、まどろみ始めて緊張がゆるむため、かゆみが倍増していると考えられます。
ヒトは皮膚表面から一日500mlの水分を出しています。体の中の余分な水分や老廃物を出すこととで体温の調節をおこなっています。アトピー性皮膚炎の体表部では、十分な発散が行われていません。これは皮膚表面の組織が壊れたり、毛根が潰れたりしているため、皮膚が機能していないからです。発散が不十分なときは体表部に熱をもち、アトピー性皮膚炎などの原因となり、皮膚表面の荒れや痒みを誘発します。汗をかくこと自体は、皮膚温度を下げる効果がありますので、問題はありませんが、汗を放置しているとまた皮膚炎が悪化します。汗をかいたらすぐに着替える習慣が大事です。